第8話 「ポト5月病」 金メダルのメッキが剥げる
巷では「5月病」と言われる頃ですが、5月に近づくにつれ負けが込んでいき、勝率も金メダルに昇進した頃と比べて明らかに落ちていた。順位は4月中旬に最高で600位台まで上がったが、とうに1000位を下回っており、このまま調子が戻らなければ金メダルが剥奪されるのも時間の問題である。一刻も早く調子を取り戻し、剥奪ラインから離れなければならない。やらなければいずれは落ちるので、やらないという選択肢はなかったのだ。
5月に入っても調子は上向かず、とある部屋で味方から「南ア!びしっとしろ!」とチャットされた程だった。そして5月の中頃ついにXデーが訪れた。何と金メダルのメッキが剥がれてしまい、銀メダルになったのである。一方、カオスギルドでは逆に銀メダルに落ちていたのが金メダルに上がった者がおり、掲示板のやりとりでも「ア全頑張って金メ戻ろうな」と書かれたのだ。いずれにせよ頑張って戻らなければならないと痛感している。
所が銀メダルに落ちても一向に調子が戻る気配がなく、ついに約1週間ポトリスから離れてしまった。これまでランキングサーバーにデビューしてからはほぼ毎日びっちり夜更かししてでもやり込んできたが、これだけの期間ポトリスから離れるのは初めてである。仕事で忙しくなかなかポトリスができないならば、銀メダルいや銅メダル以下に落ちても仕方ないのですが。そうではなく毎日やり込んでそうなったのですから情けないものである。
ならば就職活動の方を進めればいいのではいう事にし、ランクが落ちたのは仕事が忙しくなってポトリスができなくなったからという事にすればいいものである。時期的にもそろそろ何らかの仕事に就かなければならない状況である事には変わりない。この夏に北アルプスの縦走をするにせよ、それまでに資金を貯めなければならないですし。にもかかわらず、就職活動はなかなか進まず、2・3日のアルバイトをやったに過ぎなかった。
試合が早々に敗色濃厚な状況になると右下の「EXIT」ボタンを押して退出していたが、それではランキングポイントが10ポイント程度も減少するという。ちりも積もれば山となるものであり、というより結構バカにならないものがある。その様な事に気付いてからは「EXIT」ボタンを押さなくなり、低迷脱出への一歩となっていくとだろうか。